「さっきの夕焼け見た?」
「はい、見ました!」
「きれいだったね」
「はい、すごくきれいでした!すっごくきれいでした!」
「よかったよね」
「はい!」
「じゃあね」
「はい!」
「さよなら」
「さよなら!」
この写真の方向は北だ。左手が西になる。その西の空はさきほどまで、赤、橙、黄、青、紫の暖色、寒色がグラデーションの帯となって、大空を染めていた。
そのとき、僕は用事を済ませて夕方の大通りを歩いて家にもどっている途中、ここに差し掛かったとき女子高校生が目に入った。ふたりは自転車から降りて噴水の周りを鬼ごっこでもするように、ダンスをするかのように軽い足取りで噴水のまわりを一周した。
9月13日、夕暮れの大通り。ほんの些細な会話。
街を焦がしたあの夕焼けは僕らの胸まで焦がしていたんだ。