日曜日は何処にも出かけない

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日曜日の昼近くになって僕はようやく目覚めた。いつもより少しだけ濃いめの二杯分のコーヒーを淹れ、窓際のテーブルでマグに入ったコーヒーを飲みながらぼんやりとあたたかい陽射しに身体を預けていた。覚醒するまでにはもうしばらくの時間が必要だった。

それから数時間が経過しただろうか。ラジオからはドビュッシーが流れていた。テーブルの上の本に影を落とすその角度は鋭角になってきていた。午後3時を過ぎたあたりなのだろう。僕はいくつかの写真集を手にとり、過去に見ていた写真をもういちど見直しながら本を買った時のことを思い出した。旅の本だけを集めたその本屋では女性店員と旅と本について語り合ったこともあった。そこは訪れるのはきまって夜の遅い時間だった。本を手にした僕は、空港のラウンジにも似た隣接のカフェでその本のページをめくるというのが好きだった。あの本屋もカフェもいまはもうない。

いま一冊の写真集をめくりながらそんなことを思い出している。

(写真集「A  KA  RI」FUJII TAMOTSU / リトルモア/ 2005年)

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